弁護士コラム①

2025/10/30

弁護士による退職代行の強みと違法業者との違い──最近の家宅捜索報道を受けて
 

最近、退職代行サービスという言葉をニュースで耳にした方も多いでしょう。2025年10月には、大手退職代行サービスの運営会社が弁護士法違反(非弁行為)の疑いで警視庁の家宅捜索を受けたとの報道があり、業界全体に衝撃が走りました。このニュースに接し、「退職代行サービスは違法なの?」と不安に感じた方もいるかもしれません。本コラムでは、弁護士が行う退職代行サービスの強みと違法な業者との違いを、最近の報道を踏まえて解説します。
 

非弁行為とは?退職代行サービスを取り巻く法律問題

「非弁行為」とは、弁護士でない者が報酬を得て他人の法律事務を行うことで、弁護士法72条で禁止されています。要するに「お金をもらって他人の代わりに法律に関する交渉や手続きをすること」は弁護士にしか許されないのです。

では退職代行サービスは法律違反なのでしょうか? 実は、退職代行業者が依頼者に代わって「退職の意思を会社に伝える」という行為自体は違法ではありません。単に「〇月〇日付で退職します」と伝えるだけなら、権利義務を変更する交渉ではなく本人の意思を伝える伝言のようなものです。この範囲内であれば違法ではありません。

しかし退職代行業者の中には、依頼者からの要望に応じて会社とのやり取りに踏み込みすぎてしまうところもあります。例えば以下のような行為は、弁護士資格のない者が行えば非弁行為に該当するおそれがあります:
 

・有給休暇の消化日数や退職日について会社と交渉する

・未払い残業代や退職金の支払いを会社に請求する
 

これらはいずれも退職時に起こりがちな問題ですが、法律上の権利義務に関わるため弁護士でなければ扱えない業務にあたります。さらに、弁護士に案件を有償で紹介する行為(紹介料の授受)も弁護士法で明確に禁じられており、前述の大手退職代行サービスの運営会社はまさにその疑いが指摘されています。警察が強制捜査に踏み切った背景には、同社が単なる「伝言サービス」の域を超えて違法な交渉や斡旋を行っていた可能性があるからです。
 

弁護士による退職代行サービスの強み

では、弁護士が直接手掛ける退職代行サービスにはどんな強みがあるのでしょうか。最大のメリットは、法律のプロである弁護士が代理人となることで会社との交渉やトラブル対応まで任せられる点です。当事務所の退職代行サービスは弁護士が適法に行うものですので、違法性の心配なく安心してご利用いただけます。ここでは、弁護士による退職代行ならではの具体的な利点をいくつかご紹介します。
 

・会社と直接交渉できる安心感: 弁護士は法律上、依頼者の代理人として企業と交渉したり和解したりする権限があります。退職日や有給消化の調整、未払い給与の請求など、会社側と直接やりとりが可能です。非弁業者ではこうした交渉はできないため、行き違いやトラブルがあっても対応できませんが、弁護士であれば安心です。
 

・損害賠償請求にも法的に対応可能: 万一、会社から「損害を与えた」として高額な賠償請求を受けても、弁護士であれば適切に反論し、必要に応じて減額交渉や和解を行えます。当事務所でも実際に、退職時に会社から不当な多額の支払いを求められた方の負担を弁護士の交渉で大幅に軽減したケースがあります(後述の事例参照)。このように、弁護士なら法律の専門知識を駆使して依頼者を守ることができます。
 

・法違反のリスクがなく安心: 弁護士が担当する以上、サービス提供者側が法律違反に問われる心配はありません。違法業者に頼んでしまうと、万が一その業者が摘発された際に途中で連絡不能になる恐れもあります。弁護士による退職代行であれば、違法の心配なく正当な手続きを進められるため、依頼者も安心して任せられます。
 

解決事例:会社からの2000万円返還請求も弁護士交渉で解決

建設業界で営業職に就いていたAさん(仮名)は、取引先からの「キックバック」受領を理由に会社から2000万円もの返還を誓約させられ、叱責や恫喝を受けて退職を切り出せない状況に陥りました。困り果てたAさんは当事務所に退職代行を依頼します。弁護士が代理人として会社に退職の意思を通知し、併せて会社からの2000万円返還請求も精査しました。調査の結果、会社の主張額には合理的な根拠がなく、実際に問題となりうるのは受領が確認された約700万円相当の金品のみだと判明します。弁護士が粘り強く交渉し、返還額は700万円に減額、支払いも月々5万円の分割払いという条件で和解が成立しました。こうして和解内容も裁判所で正式に確認され、Aさんは不当な請求から解放され、無事に退職することができました。
 

まとめ

退職代行サービスを利用すれば、言い出しにくい退職の意思を円満に伝えられ、精神的な負担を大きく軽減できます。一方で、違法な業者が介入すると逆にトラブルが拡大するリスクも否定できません。今回の警察による家宅捜索の報道は、退職代行サービスを選ぶ際には「誰が行うのか」が非常に重要であることを改めて示しました。

弁護士による退職代行サービスであれば、法律に則った適正な手続きで安心して退職できるでしょう。退職を切り出せずお悩みの方は、ぜひ専門家である弁護士にご相談ください。当事務所でも、皆様が新しい一歩を踏み出すお手伝いを全力でサポートいたします。


弁護士 小崎公輔


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